TOP >  ワクワク系とは >  「進化・変態」の物語 >  新潟の食品スーパー店主、鈴木さん(仮名)のレポート


小阪先生、いつも大変お世話になっております。
実践会入会から現在までの私と当店の変化をご報告します。


入会した当初
2008年、実践会に入会した頃の私は2つの理由で「この場所でスーパーは成り立たない」と思い込んでいました。

その理由の一つは商圏内人口の減少です。

 ここ25年間の地域の出来事を振り返ると、子どもの数は減り続けて、2校あった小学校は1校に統合。
 中学校は生徒数が少ないという理由で閉校。
 農協の支所も経営効率化のために閉鎖。
 農協のガソリンスタンドも地域の農家の要望が強かったにもかかわらず閉鎖。
 地域の商業施設は、今は当店と床屋さんと郵便局だけ。
 高齢化がどんどん進み、自分で買い物に出掛けられない人が急増。

という過疎を絵に描いたような地域でスーパーを続けるのはどう考えても無理と思っていました。


二つ目の理由は価格競争の激しさです。

その当時はお客様は価格の安さだけで動くと思い込んでいたので
他のスーパーのチラシの価格が気になって仕方がありませんでした。

当店も他店に対抗して価格訴求チラシを配布していましたが、規模で劣るので対抗しきれません。
でもそこを無理に頑張っていたので当然利益が出ないという状態でした。

しかもそれを業態のせいにして、利益が出ない構造のスーパーという業態が悪いんだと本気で思っていました。

恥ずかしい話ですが、悪いのは全て人のせい。
利益も出ないスーパーをなぜこんな田舎でやらなければならないのか?といつも両親に当たってばかりいました。

スーパーを続ける意味が見えず、将来も見えないという状況から逃れたかったので、小売り店舗はやめて、
立地の良し悪しに関係のない食品製造業になろうと考えていました。

実際に惣菜製造業として「なんばん味噌」の製造卸も行なっていたので、なんばん味噌の卸し先がある程度増えて、
そちらの商売が軌道に乗ったらスーパーは絶対にやめようと考えていました。

上記のとおり『スーパーという業態が悪い』と思っていたので私の中では当然の正しい選択をしているつもりでした。

とにかく先が全く見えなくて『あきらめ』と『現実逃避』しか考えていませんでした。

それが今から5年前のことです。

それがどう変わっていったのか?のご報告です。



実践会入会
なんばん味噌の取引先として親交のあった和僑商店のハブキさんから
何度も実践会への入会を誘っていただいていたのですが、
その頃の私はスーパーを続ける気はないというあきらめの気持ちが大きくてすぐに入会する気になれませんでした。

そんな状態が1年ほど続いた頃、ハブキさんがシルクの石井さんを紹介してくれて、
一緒に食事をする機会がありました。

そこでのお二人の会話の中の『世界が違って見える』という言葉が妙に気になって、
私もその世界を見てみたい!と思ったのが入会のきっかけです。



最初の実践
入会してから最初に実践したのは動機付けでした。

動機付けPOPと動機付けチラシに取り組みました。
何度も何度も思考錯誤しながら続けているうちに、だんだん反応の良いPOPやチラシが作れるようになってきました。

入会してからの1年間はそれだけをやっていました。
その頃の私は「商売はテクニックなんだ」と思っていたので、
反応の良いPOPやチラシが作れるようになれば売上げが上がると考えていました。

一生懸命POPを書き続けて、そこそこ反応の良いPOPが書けるようになった頃にあの事件が起きました。



プリン事件
この事件が私のそれまでの常識を破壊し、思い込みから解放させてくれた出来事です。
いきさつはご存知のとおりなので省きます。
(注:小阪裕司著書『「買いたい!」のスイッチを押す方法』参照)

とにかく必需品ではない嗜好品である高価格なプリンが値引きしないで売れ続けたという事実は、
今までの業界内の常識を否定しないと全く受け入れられないものでした。

 
・不景気だからお客様の財布のひもは固い。
・節約志向だから必要最低限の買い物しかしない。
・お客様は1円でも安い方を選ぶ。
・死に筋商品をカットして売れ筋商品を広げるべき。
・売れるか売れないかは客数次第だから立地の良し悪しが大事。
・食べ盛りの子供が減って高齢者が増えている。
 しかも人口減少が始まっているのだから食べる量は減って当然。
 だから食品スーパーの売上げは下がって当然。
・とにかく高いものは売れないのだから安く売る仕組みを持たないスーパーは淘汰される。



以上のような業界内の常識はプリン事件をきっかけに全て消え去りました。

でもまだこの時の私は『やっぱり商売はテクニックなんだ』という認識が残っていて、
POPが上手く書けたからプリンがたくさん売れたと思っていたのです。


ところが情報誌の小阪先生の解説は全く違っていて、ヒトの行動を通してこの出来事が解説されていました。
振り返ると、この解説が私の変化の起点でした。

それまでも情報誌を読んでいたのですが、他の事例の解説では気付けなかったことが、
自分の事例を解説していただいたことで自分事になったんだと思います。

それを読んで、なるほど!こういう視点で見るのか!と気付いたと同時に
目の前の景色が一気に変わったように感じました。

これが私の『世界が違って見えた』瞬間です。



変化の始まり
ここから先はどんどん気付くようになりました。

ヒト視点に変わってしまったので、考えることが『どうすれば売れるか?』
から『どうすれば行動してもらえるか?』に変わりました。

『どうすれば行動してもらえるか?』を考え続けた結果、当店に来ることが楽しく、うれしく、
心地よくなれば来店という行動をしてもらえるのではないか?と考えるようになりました。

そして『どうすれば当店に来店してくれるだろうか?』と考えた結果、
お客様と関係性を深めることが大前提ということが理解できたので、
ここでようやく絆づくりの大切さに気が付きました。

動機付けの次は絆づくりに取り組んでみよう!ということで
まずは新聞折込みチラシの裏面を使って自己開示を始めました。
実践会で絆づくりの取り組みを学んでいたおかげで、すぐに実践に落とし込むことが出来ました。
成果もすぐに表れて、お客様とのつながりがどんどん出来てきました。



質の変化
お客様と絆ができてからは商売の質が変わりました。

売ろう、売ろう!という意識が消えて、ぜひお客様に教えてあげたいという感覚で商品を取り扱うようになりました。

お客様は他人ではなく、友達や親戚のような親近感を持つようになったので、
商売の中に思いやりややさしさが流れ込んできた感じです。
価格競争していた頃には感じることが全くなかったことですが、商売に温もりを感じるようになりました。

いつもお客様のことを思っているので、どうしてほしいのか?がわかります。
なので、何をどのように売れば(伝えれば)喜んでもらえるかわかります。
喜んでいただければ売上げは上がるので、「どうすれば売上げを上げられるか?」という悩みはなくなりました。

喜んでいただく売り方をするのは手間がかかりますが、それをサボらずにやると絶対に売上げにつながります。

以前のように仕入れた商品が売れるかどうか、売ってみなければわからないということがなくなったので、
売上げに対する不安とストレスがなくなりました。



うちらしさ
教えてあげたい商品が売り場に増えてくると店に個性が出てきました。

そのころから取り扱い商品や売り方について私たちスタッフの中でよく使われるようになった言葉が
「うちらしい」とか「うちらしくない」という言葉です。

自分たち独自の価値に気付いてそれを提供することでお客様から支持されているのが実感できるので、
堂々とわが道を行くことができます。

するとまた「うちらしさ」が強くなって、お客様がさらに支持してくれるように感じます。

以前は他店の価格が気になって仕方がなかったのですが、今は価格どころか
他店が気にならなくなりました。



スタッフの変化
これだけ店の在りようが変わると当然、私もスタッフも変わります。

お客様を楽しく、うれしく、心地よくすることが当店の役割りという認識を持つようになったので、
スーパーでは当たり前だった効率重視の行動が消えて、思いやり重視の行動が増えてきました。

例えば、レジ前に休憩用のベンチを置いたり、店頭や店内に花を飾ったり、
フロントガラス(ウインドウ)をいつでもピカピカな状態にしたり、商品の生産者の顔写真を掲示したり、
プリンのかぶりものをかぶってもらったり、荷物を車まで運んだりという、
効率重視の商売では行なわないようなことを大切にするようになっています。
そういうことを日々やっているとお客様から「ありがとう」の言葉をたくさんいただくようになりました。

相手が喜んでくれるとこちらも嬉しいので、それがまた私たちのエネルギーになって、
さらにお客様のことを思うようになって・・・という循環です。

お客様に喜んでいただこうと張り切っていると、どんどんお客様からのありがとうが増えて、
毎日の仕事が楽しくて嬉しくて仕方がありません。

お客様からねぎらいの言葉をいただいているので、スタッフはいつも明るく、元気で、やる気満々です。

そういう気持ちで働いているので、取引先、運送屋さん、郵便屋さんなど、
関わりのある人すべてに対して思いやりのある行動を取れるようになります。

それが相手の心を動かすようで、関係先と深いつながりが出来て、いろいろと親切にしてもらっています。

これも価格競争をしていた頃には無かったことです。



すべては自分次第
いつもエントリーをする度に新たな気付きと発見がありますが、今回も自店の変化をまとめてみて、
本当に大きく変わったもんだと驚いています。

良くわからなかったけれど「世界が違って見えている」人たちが進んでいる方向へ
私も行ってみようと思って実践を続けてきたら変わってしまいました。
今は、この場所でスーパーを続ける意味も、当店の将来の姿もしっかりと見えます。

将来の姿が見えるので、今やっていることは何のためなのか、
どんな意味があるのか納得して取り組むことができます。

商売を長い目で見れるようになったので、やってはいけない事もわかります。
「売れてるから」という理由だけで商品を取り扱うとか、取引先に得を生まない取り引きなどはしなくなりました。

見ているのは同じ世界なのに、見え方の違いでこんなに変わるんですね!
気が付いたらスーパーをやめる理由が無くなっていました。(笑)



今の当店はジャングルの中を木々をかき分けながら進んでいるイメージです。
この先にはどんな発見があって、次はどんな景色が広がっているのか一歩一歩ワクワクしながら進んでいます。

楽な道では無いですが、進むのに不安はありません。

それは小阪先生が進む方向を示してくれているのと、
実際に道を作りながら先を進んでいる先輩の姿が見えるからです。

あとは私たちも自力で進んでいくだけ。
必要なのは「本気で進む!」という決心と「一生商人を続ける」という覚悟だけだと思います。


永遠に続く終わりの無い旅だとわかっていますが、
この方向へ進むことの楽しさと充実感を知ってしまったので歩みは止められません。

進んで行くと次はどんな気付きがあるのか?
スタッフと一緒に楽しみながら自分達の意思で一歩ずつ進んで行こうと思います。

本当に日々の商売が楽しいです!
商売の楽しさに気付かせていただいて感謝しています。

ありがとうございます。